理由を告げずに逝くことは、遺された者を呪縛する。

『虐殺器官』小説

種の持ち主:クラヴィス・シェパード


なぜ、あの人は逝ってしまったのだろうか。

なにを、あの人は感じていたのだろうか。

だれを、あの人は想ったのだろうか。



理由を告げずに逝くことは、遺された者を呪縛する。

自分はなぜ気がつかなかったのか、

自分が悪かったのではないか、

自分が他ならぬその死の理由なのではないか。

死者は答えない。

だからこの呪いは本質的に解かれることはありえない。

忘却というものがいかに頼りないか、誰でもそれを知っている。


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